どのように進めていくのか? 2
長時間勤務対策
産業医によって考えはいろいろあるでしょうが私には過労死を防止することが健康管理の究極の目的であり私が産業医になった理由でもあります。その意味で勤務時間は一つの要因です。この勤務時間を正確に産業医に伝えない、または伝える努力を怠ると世間から強烈な批判を受け一流企業のブランドは崩れ落ちます。そういう意味で企業の収益規模が大きく安定していることは一流の必要条件で、健康管理がしっかりしていることが十分条件ではないでしょうか。
私が専属・嘱託で勤務していたほとんどの企業ではトップ・経営陣が勤務時間の重要性を認識されていました。また人事・総務は正確な勤務情報を私に渡していただけましたし、見逃しがあった場合は改善を速やかに行っていただけました。もちろん現在契約している企業は十分な対策を講じています。
私は必ずしも無条件に長時間勤務を抑制する提言はしません。若い従業員で開発・研究である期間集中的に徹夜徹夜の連続がある場合など、産業医は月に1回面談することによって危険であると判断した場合はもちろん減速を勧めますが、そうでない場合は「さあ、頑張ってください」と励ましてまいりました。私が以前技術者として勤務していたころの経験では実験が面白くて月に150時間の残業は珍しくありませんでした。大事なことは如何に上司がその仕事の重要性を部下に説明して皆が前向きに仕事をしているかということです。
しかし40歳を超えるとさすがにリスクは高くなります。自覚症状・他覚所見等正常でも可能な限り休暇の取得をお勧めしています。
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